現場担当者のヒアリングを省略すると何が起きるか

現場担当者のヒアリングを省略すると何が起きるか

【ヒアリング】 【要件定義】 【DX】 【プロジェクト管理】

2026年3月 | 山本祐真

ヒアリングはなぜ省略されるのか

現場担当者へのヒアリングが省略される理由はいくつかあります。「時間がない」「経営層・IT部門が業務を把握しているから不要」「現場は要件定義に関係ない」——こうした思い込みが、重大なリスクを生み出します。

私が通信事業会社のPMO案件や卸売業のPM案件で徹底的にユーザーヒアリングを実施したのは、まさにこのリスクを知っていたからです。

▲ ヒアリングあり・なしの結果比較

ヒアリングを省略すると起きる3つの深刻な問題

ヒアリングを省略すると起きること

① 「現場の常識」がシステムに反映されない

どの現場にも、文書化されていない業務ルールが存在します。「月末の入力は翌月5日まで有効」「返品処理は特定の担当者のみが行える」「この帳票だけは手書きで補完している」——こうした「暗黙知」は、ヒアリングなしには絶対に把握できません。

結果として、新システムが実際の業務フローと合わず、現場は膨大な手作業で補完するハメになります。

② 仕様変更が頻発し、コストが膨らむ

本番稼働後や受入テスト段階になって「この画面では実際の業務に対応できない」という問題が発覚すると、大規模な仕様変更が必要になります。要件定義段階での修正コストを1とすると、開発後の修正コストは10〜100倍になるとも言われています。

③ 現場の反発と非協力が生まれる

「自分たちの意見を聞かれずにシステムを押し付けられた」という感覚は、現場の反発を生みます。どれだけ優れたシステムでも、使う人が協力的でなければ機能しません。ヒアリングは「現場を巻き込む」プロセスでもあるのです。

▲ ヒアリング不足が引き起こす主な問題

効果的なヒアリングの進め方

対象者を絞る:全員に聞くのは非効率。部門代表、ベテラン、新人の3層からヒアリング

「As-Is(現状)」と「To-Be(あるべき姿)」の両方を聞く

「今困っていること」だけでなく「例外処理・イレギュラー対応」も必ず聞く

ヒアリング内容は議事録化し、関係者に確認してもらう

一度のヒアリングで完結しようとせず、複数回に分けて実施する

効果的なヒアリングを実現する5つのポイント

まとめ

現場担当者へのヒアリングは、要件定義の根幹をなす工程です。「時間がかかる」「手間だ」という理由で省略すると、後に何倍もの代償を払うことになります。

特に基幹系システムや業務直結のシステムでは、現場ヒアリングの徹底が成功の鍵です。ヒアリングの設計・ファシリテーションにお困りの場合は、PMO・ITコンサルタントへのご相談をお勧めします。